Verve、コロナ後の世界のバーチャルイベント提供

Verve、コロナ後の世界のバーチャルイベント提供

【テクノロジー/コンシューマーリテール企業】

2020年6月10日

イベント会社のVerveにとって、集会の禁止や新たに登場したソーシャルディスタンスに関するルールは、ビジネスにとっての危機的状況に陥るのですが、ずか1週間のうちに、同社はバーチャルイベントの先駆企業として生まれ変わりました。

さまざまな業種の中で、最初に新型コロナウイルスによる規制の影響を受けたのがイベント産業です。瞬く間に、カンファレンス、展示会、セミナー、パートナー企業や顧客企業との対面による重要な会合がキャンセルになりました。

Verveでシニアアカウントマネージャを務め、70社の優良代理店を担当ているLisa Carmody氏は、次のように説明していま。「私たちは瀬戸際に立たされていました。社内にデジタルチームがあったため、デジタルエキスパートを探さなくても済みました。社員全員が結束を固め、お互いに情報を共有して、クライアントがコロナ以前に実際の世界で利用していたようなイベントをバーチャル空間で提供できるようにしました。」

DiageoやGoogleといった企業を顧客に抱えているため、Verveはアムステルダムの中心拠点だけでなく、ダブリンとロンドンにも拠点を構えていますVerveは、28年前に現在のマネージングディレクタであるRonan Traynor氏によって設立されました。現在では、クリエイティブ、ストーリテラー、テクノロジ担当に加え、イベントの実務を統括するロデューサーやディレクターから構成される専門家集団となっています。「当社のすべてのチームは、どの拠点にいるかに関係なく一丸となって働きます。ですから、当社では、コロナ危機のかなり前からZoomを利用していました」(Lisa氏)。

新たなデジタルイベントサービスを生み出すため、Verveは、あらゆる機能を備えた「グリーンスタジオ」をダブリンのオフィスに設けました。このスタジオを利用して、クライアントは、ソーシャルディスタンスを保ちながら、プロ品質の動画を撮影してライブ配信することができます。この新しいスタジオの初披露となったイベントはTraynor主催の「タウンホールイベント」でした。そして、その動画は、当時リモートワークをしていたVerveの従業員にもライブ配信されました。「私たちにとって、スタジオがどのように機能し、何に利用できるのかを確認する良い機会になりました」(Lisa氏)。

Verveの迅速な判断は、クライアントが直面していた「対面での話し合いができなくなった状況で顧客、パートナー、従業員と連絡を保つ」という最大の課題にマッチするものでした。企業は顧客をつなぎとめる必要があり、オンラインに移行する以外の選択肢はありませんでした。当社には、自社のWebサイトをアップデートしたり、オンラインショッピングに対応するようにしたりすることを希望するクライアントからの問い合わせが殺到し、ソーシャルメディア戦略への需要が急増しました。どのようなことが世界で起こっていようと、企業はプランニングを続け、新製品を発売します。プランは若干特殊なものになっても、事業を継続させる必要があります」(Lisa氏)。

企業はソーシャルメディアやオンラインイベントを通じて認知度を維持することはできますが、メッセージを伝えるトーンやスタイルについては十分に検討する必要があります。Lisa氏は、「メッセージを伝える際に、顧客がどこにいるかということを認識し、注意を払わなければなりません」と述べています。しかし、企業が何のメッセージも発信しなければ、事態がさらに悪化する可能性があると警鐘を鳴らしています

リモートワークが普及している昨今では内部のコミュニケーションが組織にとってもう1つの重要な課題となっています。従業員間の連携が維持されているかどうかにかかわらず、実際にオフィスにいる同僚と可能な限り交流し、重要な企業情報が伝達されるように、企業はリモートワークをしている従業員に働きかける必要があります。Verveのクライアントの中には、前述のグリーンルームを利用してクイズ大会などのソーシャルイベントをオンラインで主催した企業や、タウンホールミーティングやブレインストーミングを開催した企業もいます。「要件は様々な分野にわたりますが、大切なのは、私たちが企業の目標を達成するためのお手伝いができるということです」(Lisa氏)。

Verveは、慈善事業、小売、消費財、金融サービス、製薬、テック企業など、あらゆる業種の組織に対応しています。欧州地域全体でリアルイベントとオンラインイベントの企画・運営を実施し、米国企業もクライアントとして抱えています。

「私たちは、さまざまな働き方と、さまざまな形のコラボレーションに対応しています。毎日新たな問題に直面し、おそらく、そのようなことがまだ何ヵ月も続くことでしょう。しかし、私たちは、同じ企業の一員として、”通常営業”の状態では決して考えられなかった方法で協力し合っており、それはとても張り合いのある心躍る経験です」(Lisa氏)。