サイバー・セキュリティの未来 バイオメトリクスが旅行産業を変える

サイバー・セキュリティの未来 バイオメトリクスが旅行産業を変える

コロナ危機に伴い、リモートおよび非接触型のビジネスソリューションへのニーズが急増していることから、デジタルID認証がセキュリティのための重要な手段となっています。

2020年の後半もしくは2021年の前半には、久しぶりに飛行機に乗れるようになっているかもしれません。通常どおり事前にオンラインで搭乗手続きを済ませますが、今度は、空港に到着したら、身元確認のため、スマホを提示して顔をスキャンします。

新しい非接触型のシステムを利用して手荷物を預けてから、事前予約したセキュリティスロットを使用して、すばやくセキュリティスキャナーを通過します。免税店では、商品を購入するときに、顔をスキャンするとクレジットカードによる支払い手続きが開始されます。自宅を出てから飛行機に乗るまでの間、行列に並んだり、何かに触れたりすることはほとんどありません。

進化するサイバーセキュリティ:非接触型旅行の登場

さあ、新しい旅行体験の扉を開きましょう。コロナ後のまったく違う世界です。ただし、この新しい体験の成功のカギは、ローテクまたは非接触型の旅行を可能にするデジタルIDテクノロジを利用する空港と、旅行者が進んで自身のバイオメトリック情報を提供するかどうかにかかっています。

これは、絵空事ではありません。既に、デンバー国際空港は、アイルランドのIDテクノロジ企業Daon社と協力しながら、多要素の「シームレストラベル」プログラムの試験運用を開始しています。このプログラムは、コロナ後に旅客と出張者を空港に呼び戻すという課題を解決することを目的とするものです。

「IDキャプチャや認証技術を利用することで、空港は、より広いスペースを確保して、搭乗手続きを処理し、荷物を別の場所に保管したり、混雑を緩和したり、渋滞箇所を分散させるため、レイアウトを変更する等、柔軟な対応が可能になります」と、Daon社のアジア・中東地域統括プレジデントClive Bourke氏は説明しています。

リモートでの顧客対応の実現

旅行だけが特別なユースケースではありません。現在はソーシャルディスタンスが必須であるため、非接触エクスペリエンスへの需要が高まっています。また、可能な場合はリモートインタラクションが望まれるため、デジタルIDによる本人確認がますます普及するようになることが見込まれます。

コロナ危機の中で予算が圧迫されているにもかかわらず、Daon社のクライアントや潜在顧客は、特に早いうちからリモート乗客搭乗テクノロジに目を向けています。

「既にデジタルプログラムを利用しているすべての企業がサイバーセキュリティの普及を推進しています。特に、新規顧客を取り込むための堅牢な認証手段が要になっています」(Bourke氏)。

コロナ後の本人認証:業種と国を超えて

銀行、保険会社やその他の金融サービス企業、携帯電話サービスプロバイダ、カーシェアリング企業、ホテル、大学など、何らかの時点でユーザーの身元確認を必要とするすべての組織にとって、デジタルIDテクノロジを導入することがソーシャルディスタンスや旅行規制に関する課題の回避策となる可能性があります。

Daon社のIdentityXプラットフォームは、銀行、保険会社、電気通信企業、スポーツくじ、ペンション運営企業、仮想通貨企業などで利用されています。Bourke氏は、世界各国でのデジタルID認証への移行の事例を挙げています。たとえば、スペインの銀行では顔認証機能をATMに追加し、日本の金融企業は完全なオンライン融資申請を実現し、ニュージーランド政府は国民が「RealMe」システムのデジタルIDを使用して広範なサービスにアクセスできるようにしています。

また、Bourke氏は、保健関連の情報と、医療カルテ、実験報告、スキャン、検査結果、処方箋、およびスマホでアプリに保存されているその他のデータとの統合が進むことが見込まれるとも語っています。

「その背景には、新型コロナウイルス検査の結果を確実に知ることができるように人々にデータを提供するために協力するという動きがあります。これは、データを人々の手に委ねるという政府レベルの意思の表れです。」

プライバシーの見直し:新たなマインドセット

ただし、デジタルIDテクノロジの導入が広い範囲で根付くには、消費者に安心感を与える必要があります。Daon社をはじめとするバイオメトリック認証分野の企業は、プライバシーやデータセキュリティに関する人々の懸念を取り除かなければなりません。

しかし、Bourke氏は、プライバシーに関するいくつかの基本原則は見直されることになるだろうと考えています。「私たちは、日本で初めてビジネスを展開した際に、常にプライバシーという言葉を耳にしました。現在では、デジタルIDの導入がプライバシーに優先されているように見受けられます。プライバシーの原則の一部については見直しが行われており、それらが実際には何を根拠としているかが問われています。つまり、それらの原則が形式的なものではなく、必然性のあるものかどうかということです。」

それだけでなく、コロナ危機によって社会的な結束が強まっているとBourke氏は述べています。つまり、人々は相互の利益や大義のためにはプライバシーに関して当初懸念していたいくつかのことを飲み込むのを厭わないということです。

「現在、人々は以前よりも他の人を信頼する気持ちが強くなっているか?と聞かれれば、答えは間違いなく『イエス』でしょう。私たちには人間としての思いやりがあり、社会をより良くするためには全員が協力する必要があるという共通認識があります。人々は、何かを得るためには何らかのデータを提供しなければならないということに気付きはじめています。」

特に、欧州では一般データ保護規則 (GDPR: General Data Protection Regulation) が、プライバシーとサイバーセキュリティに関する人々の懸念を和らげると共に、それらのトピックを企業の優先課題に押し上げるのに役立っています。

オンラインセキュリティがもたらすオフライン改革

プライバシーとセキュリティに関する重要な進化は仮想世界で起こっていますが、デジタルIDやバイオメトリックセキュリティへの移行の影響は現実世界でも広い範囲で感じられるようになる可能性があります。

多くの企業では従来に比べて物理的な支社の必要性が少なくなっており、消費者は現実世界で行列に並んだり、ペーパーワークをしたりする代わりにオンラインで手続きができるようになったことを歓迎しているため、今後10年間で実店舗の携帯電話ショップや銀行の支店は減ることになるだろうとBourke氏は指摘しています。

2030年までには、空港だけでなく、多くの公共の場がまったく違ったものになっているかもしれません。

詳細、ケーススタディ、ホワイトペーパー、またはデモンストレーションについては、https://campaigns.Daon社.com/irishadvantageをご覧下さい。