欧州委員会の農業に関する直近の展望によると、EUのアグリフード産業内での構造の変化と他の産業での雇用機会の拡大を主な要因として、欧州の農業労働人口は2017年から2030年の間に28%減少すると予測されています。
このような減少傾向は欧州に限りません。米国農務省（USDA）の経済調査局は、同国の農業労働人口は長年にわたって減少していると報告しています。特に、米国の自営農家や家族経営農家の数は1950年の760万件から2000年には206万件へと73%の大幅な下落となっています。
その他にも、世界銀行の国際労働機関のデータから、雇用総数に占める農業人口は世界中のほとんどの国々で減少を続けていることが分かります。それと共に、農業従事者の高齢化が進んでおり、食糧農業機関（FAO）によると、米国およびその他の先進国における農業従事者の平均年齢は60歳となっています。
しかし、将来は必ずしも悲観的なものではありません。近年の米国における農業労働人口の減少にもかかわらず、USDAの農業および農業収入報告書から、農業技術の発展により、農業総生産量は1948年から2015年で実際には増加していることが分かります。
この事実は、高齢化する農業労働人口の補助や代替となるだけでなく、農業の効率性と生産性を改善するアグリテックソリューションを提供することの価値を明らかに示すものです。
救済策としての自動農業
既に国際的な農業分野では技術開発が発達していますが、直面している課題に対処するには、特に継続可能な方法での効率性と生産性の改善という面で、まだ時間がかかります。そこで、それらの課題の多くを克服するのに役立つのが自動農業などの先進技術や人口知能（AI）です。
たとえば、自律農業ソリューションを提供している企業として、以下の企業が挙げられます。
・Harvest Automation（米国）：マテリアルハンドリング企業であり、屋外環境での手作業の労働に伴う問題を解決するためのロボットを提供しています。
・Naio Technologies（フランス）：除草、耕作、収穫用工具に加え、農業およびブドウ栽培用のロボットを開発ならびに製造しています。
・Dairymaster（アイルランド）：酪農設備を自動フィーダーや自動肥料スクラッパーなどの製品と共に製造している業界のリーダーです。
・Precision Hawk（米国）：ドローンやUAV用のリモートセンシングアプリケーションとデータ処理サービスを提供しています。
・Deepfield Robotics（ドイツ）：従来型および有機栽培における除草管理を改善するための自律機械を開発しています。
・Universal Robots（デンマーク）：反復作業や単純作業を自動化および合理化するコラボレーティブロボットを製造しています。
まとめ
既に、人間の介入をあまり必要としない分野での農業改革がロボティクスによって進められており、データ、AI、およびその他のスマートテクノロジーを利用して農地が最適化されています。ドローン、UAV、ロボットの登場により、未来の農場では自律農業への依存が大幅に高まると見込まれ、人間による作業に頼ることが少なくなり、結果として、労働人口の減少という問題が軽減されるようになるでしょう。
これらの自動化システムは、生産品質を向上させ、生産コストを抑制し、労働に伴う手作業を軽減するだけでなく、有人車では非常に危険なエリアでの機械作業を可能にすることで現場作業の安全性も改善します。
総体的には、労働不足という課題に直接対応するソリューションは農産業で歓迎されるようになるでしょう。
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